こんにちは、合同会社ヒバナの神林です。
突然ですが、「自社の新商品を世の中にもっと広めたい! でも、広告にかける予算なんて全然ない……」と頭を抱えたこと、ありませんか?
「いいものを作れば売れる」なんて言われますが、現実は「知られなければ存在しないのと同じ」なんですよね。
そんな悩める私たちの強い味方になってくれるのが、今回お話しする「プレスリリース」です。
プレスリリースは、ただの「お知らせ」ではありません。うまく活用すれば、広告費をかけずにテレビや新聞に取り上げられ、爆発的な信頼を獲得できる魔法のツールにもなり得るんです。
「魔法なんて大げさな」と思いましたか? でもこれ、あながち嘘じゃないんですよ。
今日は、広報初心者の方に向けて、プレスリリースの基礎から広告との決定的な違い、そして記者が思わず取材したくなる書き方のコツまで、私の経験を交えてじっくりお話しします。
プレスリリースとは?意味と目的を正しく理解する
結論から言うと、プレスリリースとは「企業や団体が、メディアに向けて発信する公式発表」のことです。
ここで大事なのは、「お客様に向けたチラシ」ではなく、「メディアに向けた手紙(ラブレター)」だという点です。ここを勘違いしていると、いつまでたっても取材にはつながりません。
企業・団体からの「公式発表」
具体的には、新商品の発売、新サービスの開始、人事異動、イベントの開催など、企業としての新しい動きを文書にして社会に伝えます。
これを新聞、テレビ、雑誌、Webメディアなどの報道関係者に送るわけです。メディア側は、日々送られてくる膨大なプレスリリースの中から、「これは世の中に伝える価値があるニュースだ!」と思ったものを選んで記事にします。
つまり、私たちはメディアの方々に「ネタ」を提供し、メディアの方々はそれを「ニュース」として社会に届ける。この協力関係を作るための最初のきっかけがプレスリリースなんです。
ニュースリリースとの違いはある?
よく「ニュースリリース」という言葉も聞きますよね。「プレスリリースと何が違うの?」と混乱するかもしれませんが、基本的には同じものと考えて大丈夫です。
厳密に言うと、以下のような使い分けをするケースもあります。
- プレスリリース: Press(報道機関)に向けた資料
- ニュースリリース: News(一般消費者や投資家含む)に向けた情報
ただ、今はWebサイトで誰でもリリースを見られる時代です。メディア向けに書いたものが、そのままSNSで拡散されて一般の方に届くことも日常茶飯事ですよね。なので、言葉の定義にこだわりすぎる必要はないかなと思います。
ここが違う!「プレスリリース」と「広告」の決定的な差
「でも、自分たちで発信するなら広告と同じじゃないの?」
そう思う方もいるかもしれません。でも、この2つには天と地ほどの差があります。
掲載の決定権は「メディア」にある
一番の違いは、「誰が掲載を決めるか」です。
- 広告: お金を払えば(枠を買えば)、確実に掲載される。内容は企業がコントロールできる。
- プレスリリース: 記者が「価値がある」と判断しない限り、掲載されない。内容はメディアが編集する。
広告は、言ってみれば「お金で買ったステージ」で自分たちの主張を叫ぶようなものです。
一方、プレスリリースは「パブリシティ」と呼ばれ、第三者であるメディアが客観的な視点で報道するものです。ここに、掲載の確約はありません。
「えっ、確約がないなら広告のほうが良くない?」と思いますよね。ところが、そうとも言い切れないんです。
費用と信頼性の違い
プレスリリースの最大のメリットは、「圧倒的な信頼性(社会的信用)」が得られることです。
広告だと、読者は無意識に「ああ、これは売り込みだな」と警戒フィルターをかけます。でも、ニュース記事として紹介されると、「へぇ、今こんなのが流行ってるんだ」と素直に受け入れてもらいやすいんですよね。
しかも、プレスリリース自体に広告費はかかりません(配信サービスの利用料くらいです)。
以前、あるお客さまが一生懸命広告を出していた時期がありました。でも、反応はポツポツ……。正直、「こんなもんか」と凹んでいました。
ところが、あるWebメディアがそのサービスを記事として取り上げてくれた瞬間、問い合わせが急増したんです。「記事を見ました! こんなサービス探してました!」って。
中身は同じサービスなのに、「誰が伝えたか」でこれほど反応が変わるのかと驚愕しました。第三者のお墨付きって、私たちが思う以上に強力なのかもしれません。
企業がプレスリリースを配信する3つのメリット
では、具体的にどんな良いことがあるのか。私が考えるメリットは大きく3つです。
低コストで認知拡大・ブランディングができる
もし大手新聞やYahoo!ニュースのトップに載ったりしたら、同じ効果を広告で出そうとすると数百万円、下手をすれば数千万円かかることもあります。
これを「広告換算価値」なんて言いますが、プレスリリースなら数万円(あるいは無料)のコストで、その効果を得られる可能性があるんです。
まさに、ローリスク・ハイリターンの投資だと思いませんか?
ステークホルダーからの信頼獲得(採用・融資への波及)
メディア掲載の実績は、お客様だけでなく、取引先や銀行、そして求職者へのアピールにもなります。
- 「あの新聞に載った会社なら安心だね」と銀行の融資がスムーズになる。
- 「メディアで話題の会社で働きたい」と優秀な人材が集まる。
- 既存の社員が「うちの会社、ニュースに出たぞ!」と誇らしく思う。
意外と見落としがちですが、インナーブランディング(社内の士気向上)にもすごく効くんですよ。
Web上の資産(被リンク・検索対策)になる
最近は、Webメディアに記事が転載されることで、SEO(検索エンジン対策)の効果も期待できます。
多くのニュースサイトに自社の記事が載り、そこから公式サイトへのリンク(被リンク)が貼られると、Googleからの評価が上がることがあります。
広告は掲載期間が終われば消えますが、Web記事は「資産」として残り続ける。これも地味ですが大きなメリットです。
記者の目に留まる!効果的なプレスリリースの書き方と構成
「メリットはわかった。でも、どう書けばいいの?」
ここが一番の悩みどころですよね。記者の目に留まるには、型があります。
プレスリリースの基本構成(5つの要素)
基本的には、以下の5つの要素を上から順に並べればOKです。
- タイトル: ニュースの要約。一番大事。
- リード文: 5W1H(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どうした)を簡潔に。
- 本文: 詳細情報、開発の背景、社会的意義、今後の展望など。
- 画像・素材: 商品写真、ロゴ、代表者の顔写真など。
- 問い合わせ先: 担当者名、電話番号、メールアドレス。
奇をてらう必要はありません。記者は忙しいので、パッと見て構成がわかる「標準的なフォーマット」が一番好まれます。
最も重要なのは「タイトル」と「画像」
ここで残酷な現実をお伝えします。
記者の元には、毎日数百通、多い人だと千通以上のプレスリリースが届くそうです。
彼らが1通にかける時間は、わずか数秒。タイトルとメイン画像を見て「関係ない」と思われたら、本文すら読まれません。ゴミ箱行きです(泣)。
なので、勝負はタイトルで決まります。
私が意識しているのは、「社会性」や「意外性」をキーワードに入れることです。
例えば、ただ「新商品を発売します」と書くのではなく、
- 「業界初! 〇〇の課題を解決する〜」
- 「過去最高の糖度を実現した〜」
- 「コロナ禍で増加する〇〇悩みに〜」
といった具合に、「今、世の中が知るべき理由」をタイトルに込めます。
逆に、「弊社自慢の〇〇をご賞味あれ!」みたいな、ただの宣伝文句だけのタイトルは、ほぼスルーされると思ったほうがいいかもしれません。
作成したプレスリリースを届ける方法
渾身の1本が書けたら、それをメディアに届けましょう。方法は主に2つあります。
プレスリリース配信サービスを利用する
一番手軽で確実なのが、配信サービスの利用です。
- PR TIMES: 国内シェアNo.1。圧倒的なメディアリストとPV数を持っています。
- @Press: 記事になりやすさに定評があるサービス。
- value press: 中小企業にも使いやすい価格帯。
また、予算が全くない場合は「ぷれりり」のような無料サービスもあります。
これらのサービスを使うと、提携しているWebメディアに自動で転載されることもあるので、それだけでも一定の認知効果が見込めます。
自社のメディアリストへ直接送付する
もう一つは、泥臭いですが「直接送る」方法です。
テレビ局や新聞社の窓口に郵送したり、ホームページの受付フォームから送ったり。もし過去に名刺交換した記者さんがいれば、個別にメールを送るのも有効です。
「わざわざ送って迷惑じゃないかな?」と思うかもしれませんが、記者さんも常にネタを探しています。丁寧な手紙を添えて送れば、意外と目を通してもらえるものですよ。
まとめ
プレスリリースは、単なる宣伝チラシではありません。
企業が社会に対して「私たちはこんな活動をして、こんな風に世の中を良くしようとしています」と語りかける、「社会との対話」だと私は思っています。
最初は取り上げられなくて当たり前です。「1回出したけどダメだったからやめた」ではもったいない!
記者さんも人間なので、「お、またこの会社から面白いリリースが来たな」と覚えてもらうことが関係構築の第一歩です。
まずは自社の中に眠っている「ニュースの種」を探して、拙くてもいいので1本、書いてみませんか?
その1本が、会社の運命を変えるきっかけになるかもしれません。





