Webサイト運営をしていると、必ず耳にする「アクセス解析」という言葉。
でも、管理画面を開くと数字の羅列ばかりで、「うっ、難しそう……」とそっと閉じてしまった経験、ありませんか?
正直に言うと、私も最初はそうでした。「数字を見るより記事を書きたい!」って思っちゃうんですよね。
でも、アクセス解析はWebサイトにとっての「健康診断」のようなものです。
どこが悪いのか、どこが元気なのか。それがわかれば、適切な処置(改善)ができて、サイトは必ず成長します。
この記事では、当時の私のような初心者の方に向けて、最初に覚えるべき基礎知識や専門用語、そして無料で使えるツールについて、できるだけ専門用語を使わずに解説していきます。
アクセス解析を行う本当の目的
そもそも、なぜアクセス解析をする必要があるのでしょうか?
「何人来たか知りたいから」
もちろんそれもありますが、それだけだと非常にもったいないんです。
「現状把握」と「課題発見」
結論から言うと、アクセス解析の最大の目的は、感覚ではなく「事実(ファクト)」に基づいて判断するためです。
例えば、「この記事は絶対面白いはずだ!」と自信満々で公開した記事があったとします。でも、実際に蓋を開けてみたら全然読まれていない……なんてこと、よくあります(笑)。
逆に、なんとなく書いた記事がなぜかずっと読まれ続けていることもあります。
- どこから来たのか?(流入経路)
- どのページで帰ってしまったのか?(離脱ページ)
これらを数字で見ることではじめて、「現状」が正しく把握できます。そうすると、「あ、ここのリンクが見つけにくいのかも?」といった「課題」が見えてくるんです。
ユーザー心理を読み解く
もう一つ大切なのが、数字の裏側にある「ユーザーの気持ち」を想像することです。
数字はただの結果ですが、そこには必ずユーザーの行動理由があります。
「なぜこのページの滞在時間が長いんだろう?」と考えてみる。これこそが解析の醍醐味だと私は思います。
以前、ある特定の記事だけ滞在時間が異常に長いことがありました。「なんでだろう?」と思って詳しく分析してみると、その記事は「料金比較」について書いたものでした。
ユーザーは、じっくりと料金を見比べて悩んでいたんですね。
そこで、「もしかして、このページに『料金シミュレーション機能』があったら喜ばれるんじゃないか?」と仮説を立てて実装してみたところ、問い合わせが急増したことがあります。
数字からユーザーの「迷い」や「ニーズ」に気づけた、良い事例かなと思います。
これだけは区別したい!基本の3大指標
アクセス解析にはたくさんの用語がありますが、初心者のうちは全部覚える必要はありません。
まずは、以下の「3つの指標」の違いだけ理解しておけば大丈夫です。これ、意外と混同しやすいんですよね。
PV(ページビュー数)
ページが表示された延べ回数のことです。
Aさんが3ページ見たら、3PVです。サイト全体の規模感や、どのくらい見られているかを知るための、最も基本的な指標ですね。
セッション数(訪問回数)
ユーザーがサイトを訪れてから、サイトを出る(離脱する)までの一連の行動を「1回」とカウントします。
Aさんがサイトに来て、3ページ見てから帰った場合。PVは3ですが、セッションは「1」になります。
お店に来店した回数、とイメージするとわかりやすいかもしれません。
UU(ユニークユーザー数)
特定の期間内にサイトを訪れた「人数」のことです。
ここが重要なのですが、Aさんが朝に1回、夜に1回サイトを訪れたとします。
この場合、セッション数は「2」になりますが、UU数は「1」のままです。なぜなら、同じ人だから。
ここから見えてくること
以前、PV数は順調に増えているのに、UU数がずっと横ばい……というケースがありました。
これ、どういうことかわかりますか?
答えは、「新規の読者が増えておらず、同じファン(リピーター)が何度も見てくれているだけ」という状態だったんです。
もちろんリピーターは大切ですが、ビジネスを拡大するには新規客も必要ですよね。そこで、「常連さん向けの内容ばかりになっていないか? 初見の人でもわかる記事を書こう」と方針転換することができました。
PV、セッション、UU。それぞれの違いを理解すると、打つべき手が変わってくるんです。
最初に導入すべき無料の解析ツール
では、実際にどうやって解析すればいいのでしょうか。
世の中には高機能な有料ツールもたくさんありますが、最初はGoogleが提供している無料ツールだけで十分です。というか、これがスタンダードです。
Googleアナリティクス4(GA4)
これは、サイト内でユーザーが「何をしたか」を分析するツールです。
- どのページを見たか
- どのくらい滞在したか
- ボタンをクリックしたか
まさに、お店に入ってからの動きを観察する防犯カメラ(言い方はあれですが…)のような役割ですね。まずはこれを導入するのがスタートラインです。
Googleサーチコンソール
通称「サチコ」。こちらは、サイトに来る「前」の動きを分析するツールです。
- どんな「キーワード」で検索されたか
- 検索結果に何回表示されたか
- 掲載順位は何位か
Webマーケティングでは、ここが宝の山だったりします。
私がよくやるのは、記事のリライト(修正)をする時にサチコを見ること。「自分が意図していなかったキーワード」で検索されて記事に辿り着いている人が意外と多いんです。
例えば、「SEOライティング」というテーマで書いた記事なのに、「ブログ 書き出し 悩み」というキーワードで来ている人が多かったり。
「あ、読者はSEOの知識よりも、最初の書き出しで詰まっているのか!」と気づけますよね。そうしたら、書き出しのコツを追記してあげる。これだけで、記事の満足度はグッと上がります。
初心者が陥りやすい失敗と正しい進め方
最後に、これからアクセス解析を始める皆さんに、ちょっとしたアドバイスを。
これ、私もハマった落とし穴なので、ぜひ気をつけてください。
データを見るだけで満足しない
これ、本当にあるあるなんです。
毎日管理画面を開いて、「昨日は100PVだった、今日は110PVだ、よしよし」と眺めて満足してしまう。
でも、数字を眺めるだけでは、サイトは1ミリも良くなりません。
大切なのは「なぜ増えたのか?」「なぜ減ったのか?」を仮説立てて、次に何をするか決めることです。
分析はあくまで「手段」であって、目的は「サイトを良くすること」だということを忘れないでくださいね。
まずは「よく読まれている記事」から改善する
「よし、改善するぞ!」といって、アクセスの少ない記事から手をつけてしまうのも、実はあまり効率的ではありません。
おすすめは、アクセスの上位20%の記事から改善することです。
多くのサイトでは、全体のアクセスの8割を、上位2割の記事が稼いでいます(パレートの法則なんて言ったりします)。
すでに見に来てくれている人が多い記事をリライトした方が、インパクトが大きいんですよね。
60点の記事を80点にするほうが、0点の記事を頑張って作るより成果が出やすい。そう思うと、ちょっと気が楽になりませんか?
まとめ
アクセス解析とは、Webサイト運営における地図を手に入れるようなものです。
地図がなければ、自分が今どこにいて、目的地まであとどれくらいなのかわかりませんよね。
まずは、Googleアナリティクス(GA4)とサーチコンソールを導入してみましょう。
そして、難しい用語は一旦置いておいて、PVとUUの変化を見ることから始めてみてください。
「数字は嘘をつかない」と言いますが、その数字をどう解釈するかは私たち次第です。
ぜひ、サイトの健康状態をチェックして、読者にとってより良いサイトに育てていきましょう。





